過緊張のせいだろうか?心拍数が高い

心拍数

中学に入ってからの検診で、心臓に心室期外収縮が見られた天。

成長期にはよくあることらしく、経過観察というかたちで、病院で毎年検診を受けることになりました。それが昨年の話。

ところが今年の検診で、はかばかしくない結果が出ました。心臓の状態をさらにくわしく診る必要が出たため、ホルター心電図(電極と小型の機械を身体に装着し、心電図を24時間記録する)で検査を受けることになりました。

その結果、心室期外収縮が多い傾向があるものの、一日単位で見ればそう神経質になるほどではないことがわかってひと安心。しかし今度は、「心拍数が異常に高い」と指摘されました。

中学生であれば100くらいまでが通常数値とのことですが、天はなんと140もありました。しかも、就寝中もほとんど下がっていないそうです。

常に激しい運動の直後のような状態で、これでは身体がずいぶんつらいのでは…と先生は心配そうにおっしゃいました。

高い心拍数の裏には、甲状腺異常やバセドウ病などの大病が隠れている可能性があり、さらなる検査を受けることになりました。

次から次へとよく問題が出てくることだわ・・・と頭を抱えたわたしの耳に留まったのは、先生のつぎの言葉です。

「異常な緊張状態にあるとか…」

異常な緊張状態。それはまさに、天のふだんの姿ではないですか。天はどんなときも、過緊張の状態にあります。その精神の状態が、身体にまで影響を及ぼしているとしたら。

その日、ソファにいる天の隣に座って、手を握ってみました。

くたっとくつろいでいるはずの天の手に、ときどき、ぴくっと力が入ります。揺らして力を抜いてみても、またすぐにぴくっと力が入る。過緊張なのは知っていたけれど、ここまで力が入っているとは。いつも身体がこんなにがちがちに固まっていては、きっと勉強にも運動にも集中できないし、人づきあいも難しいと思います。

もちろん寝ているときも力が抜けないでしょうから、ぐっすり眠れていないのではないか…と思います。発達途上の天にとって、夜ぐっすり眠れていないというのは大きな問題です。身体はもちろんのこと、心の健全な成長をも阻害するおそれがあります。

結局、発達障害というのは、このように、困難を抱え続けることなのだな、と思います。困難が新たな困難を呼び、お互いに連鎖しあって、どんどん悪くなっていってしまう。

定型発達であれば、「しっかりごはんを食べて、夜ぐっすり眠れば、だんだんによくなるよ」と楽観的に見ていられるはずのことが、そうはならない。夜早く寝る、とか、好き嫌いなく食べる、という、生物として当たり前に思える生活が難しいので、成長につながるはずのことが、うまく成長につながっていかない。しかも、その生活スタイルがその人自身の性質に由来しているので、根本治療が難しいのです。

 

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けれど、それは天のせいではない

天のせいではない

けれども、「夜早く寝ない」天が悪いわけではないのです。きっと天は、心拍数が高すぎて「夜早くなんて、とても寝られない」状態なのだと思います。過緊張も天にとってはふつうのことであるので、リラックスすることのほうが難しいのでしょう。

しかし、天にとってふつうのことが、身体にまで悪影響を及ぼしている今、なんとかしてやりたいけれど、その「なんとか」って、なんなのか。

大人であれば、お茶を飲んでひと息つくとか、ヨガでもやって身体をほぐすとか、いくらでもやりようはあるかと思うのですが、いかんせん子どもですから、あらためて「リラックス」などという一見「時間のむだ」に感じられることに向き合うつもりはないようです。

そして、天が家でなかなか勉強にとりかかれない理由も、ここにあると思っています。

後日行われた精密検査では、特に問題は見つかりませんでした。今回の検査はお正月休み中に行われ、のんびり過ごしていたせいもあるのか、心拍数も正常の範囲に収まっていました。

裏を返せば、学校へ行ったり、部活をしたりする毎日の中では、天は極度に緊張し、心拍数を上げ続けているわけです。中学生にとって、学校生活は「ふだんの生活」ですから、その「ふだん」にそれほどまでに緊張しているとしたら、家に帰ったとたん、ぷつんと緊張の糸が切れてしまうのは当然です。

学校に行くだけでせいいっぱいなのに、さらに家でも「勉強をがんばろう」とおしりをたたかれても、がんばることはむずかしいでしょう。

100メートルを全力で走ったあとに、いすに座って英単語を覚えろと言われても、覚えられません。大舞台でスピーチを終えたあとに、数学の文章題を解けと言われても、頭に入りません。

天は学校が好きですし、楽しんでもいるようです。しかしそれは、わたしが想像するよりももっと、「必死」で「切実」な状態なのではないか、と思います。

親であるわたしにできることがあるとすれば、できるだけ、天の心拍数を上げないことしかないのでは…と思いはじめました。「うまくのせて」、毎日を気分よくのり切らせてやる。天の疲弊を最低限に抑えて、明日へつなげてやる。天へのハードルをさらに下げた、年始です。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。