チャレンジテストはただの実力テストではない

大阪府チャレンジテストとは

チャレンジテスト

大阪府では1月13日に、中学1・2年生を対象にチャレンジテストが行われました。

このテストは中学校間の成績を是正する目的で行われる、大阪府独自のテストです。導入当時からその是非について議論を呼んできたテストですが、大きな範囲で成績を把握して内申点をつけるための、実力テストのようなものかと考えていました。

ところが学校で、生徒に対して「このテストでのがんばり次第では、成績が上がる」という話がなされたようです。

チャレンジテストで成績が上がる…?

単なる実力テストなら、その結果によって成績が上がるということはあり得ません。これはどういうことでしょうか。

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大阪府では、2016年から成績のつけ方が、それまでの相対評価から、絶対評価へと変更になりました。相対評価は「上位5%の生徒には5をつける」など基準がはっきりしていますが、絶対評価は学校によって、または先生によって、何を基準とするかがまちまちになりがちです。そのため、評価の基準を「大阪府の中学生の平均学力」とし、それを測るために行われるのが、チャレンジテストです。

このテストの導入にあたって議論が巻き起こったことは、記憶に新しいですね。学校全体の成績を上げるために、成績のよくない生徒に対して先生が休むよう指示した、などという報道もなされました。

テストの結果、その中学校の平均点が大阪府全体の平均点を上回った場合、より多くの生徒に高い内申点がつけられるようになり、逆の場合は、より多くの生徒に低い内申点がつけられことになってしまいます。

これでは、平均点の低い学校の生徒は不利になるのではないか…とも思います。ただ、天の在籍する中学校は教育熱心な家庭が多く、総じて成績が高いため、相対評価では内申点がとりにくかった、という事情から考えると、どれが正解かは簡単には言えません。

昨年度までは、この考え方は3年生だけに適用されていましたが、令和2年度からは、1・2年生にも適用され、各学校は、チャレンジテストの結果から、適切な評価が行われているかどうかを判断し、評定をつけることになりました。現1・2年生の学年末の成績は、学校の平均点が高ければ「5」をとる生徒が多くなり、低ければ「5」をとる生徒の割合が下がる、ということになります。

天が学校で「成績が上がることがある」と聞いた、というのは、これを反映していたのかもしれません。

学校全体でがんばって平均点が上がれば、その恩恵が生徒全体に返ってくるわけですから、モチベーションのもっていき方によっては、学校全体のまとまりにつながり、学力だけにとどまらないよい影響が出る可能性があります。

ただ、チャレンジテストの結果返却のとき、先生は「この結果で、成績が上がったり下がったりはしません」ともおっしゃったそうです。どのような意図でそうおっしゃったのかはわかりませんが、学年末の評定をつけるときには、チャレンジテストの結果によって各学校の評定のつけ方が決まってしまっています。したがって、成績は「大きく変わる」ことはないとしても、「微妙にずれる」ことはあるのではないか、と考えます。

 

さて、実際のチャレンジテストは

チャレンジテスト

今年度はコロナのため、3年生のテストはありませんでした。1月に、1年生・2年生のテストが実施されています。

2年生は英数国理社の5科目、1年生は英数国の3科目。ただ大阪市では、「チャレンジテストplus」として理社が追加され、1年生も5科目の受験となっています。

出題範囲はすべて教科書内となっており、ページも教科書ごとに指定されています。もちろん資料類も、関連分野はすべて範囲となっています。出題形式は

  • 選択式問題(選択肢から選んで答える問題)
  • 短答式問題(短い語句や数値などで答える問題)
  • 記述式問題(長い語句や文章などで答える問題)

の3種類で、実施時間は1教科あたり45分です。英語には、リスニング問題もあります。

さて、実際の問題ですが、大阪府のホームページに過去問題が掲載されていますので、ご覧になられるとよいかと思います。

大阪府/中学生チャレンジテスト復習教材 (osaka.lg.jp)

 

どの教科も基本的な問題が多く、難易度は高くはありません。点数をとるのはそうむずかしくはない、と思いました。

結果については、3月に生徒全員に個人票が配布されます。得点と大阪府の平均点、学習指導要領との関連、すべての問題についての結果と大阪府の正答率などくわしく記載があります。とてもわかりやすく、子どもの理解の傾向を把握できるものとなっています。

最後に

チャレンジテスト

結果がどうあれ、生徒のみなさんにはベストを尽くしてほしいと思います。テストの存在や制度そのものに不思議感がありますので、疑問はつぎつぎに浮かんできて、集中するのがむずかしいかもしれません。けれども、世の中や社会というのはもともと不完全なものです。その不完全さのなかで、自分のできる限りのことをやってほしいと思います。

ただ親にとっては、自分の子どもの成績に、学校のレベルがからんでくるということになれば、穏やかではいられないのも当然です。

ただ、成績というものは、学校のレベルに関係なく、個人によってあらかじめ決まっているものなのです。ここでじたばたしても、どうしようもありません。

くわしくはこちらをご覧ください。

成績は「成績」だけの話ではない。生き方の問題

いちばん大切なことは、子ども本人をよく見ることです。子どもをよく見て信じることができれば、子どもにとっていちばんよい道が、向こうから手をふってやってきます。子どもの力を信じる、それがいちばんむずかしくて、いちばん子どもを伸ばす、たったひとつの道なのです。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。