進級が危ない

発達障害グレーゾーンで高校一年生の天は今、崖っぷちにいます。

どんな崖っぷちかというと、「進級できるかどうか」の崖っぷちです。

やりたくないことは絶対にやらない、天の性格がまたまた災いしています。

楽しく高校生活を送ってくれて本当にありがたい、うれしいと思っていただけに、今回の崖っぷちには、「やっぱりか・・・」と「発達障害グレーゾーン生活」がまだまだ続くのだ、というあきらめにも似た気持ちがあります。

高校一年の二学期(正確には後期の半ば)時点で、欠点がつきそうな科目がいくつかあり、後期最後のテストでクリアできなければ進級が難しいそうです。

天がちょっとおどけた態度で「危ない危ない」と言うことはありましたが、充実した高校生活を送っていることもわかっていたので、最低限進級の自覚は持っているだろうと楽観的にとらえていました。まさか「本当に危ない」ことになっていたとは・・・

なぜそのような事態になっているのかといえば、「課題を出していない」からです。

やっぱりか。

これは中学でも受験の妨げになった天の悪い癖です。さんざん痛い思いをしたのに、まだこりていなかったようです。ああ、あの悪夢がふたたびよみがえるとは。

テストの点数は悪くはありません。けれども課題が出ていないと、プラスの点数がないどころかマイナスになってしまうため、結果的に欠点になるのです。

天は例によってまったく勉強をしていません。それは高校に入っても徹底しています。

「勉強がきらい」だそうです。

それはかまいません。勉強がきらいでも、演劇が好きで、将来その仕事に就きたいという目標があり、それに向かってがんばっている天を評価しています。実際演劇部では、信頼を置かれ、頼られる存在になっているのです。

けれども、好きな仕事に就くにはまず高校を卒業しないといけないし、そのためにはまず進級をしないといけません。

面談でも延々と時間を延長して、先生との話し合いが続きました。

進級が危ない生徒には、担任の先生が各教科の先生と連携をとり、課題が出ているか、態度はどうかなど、逐一チェックして励ましを続けてくれるそうです。

その「連携+チェック+励まし」の制度に入るかどうか、天は先生に聞かれましたが、天は「はい」と首を縦に振りません。

わたしは、その理由を知っています。

約束すれば、「絶対、課題をやり遂げなければならない」からです。天は、「最低限の努力で、なんとかこの難関を切り抜けたい」と考えているのです。

結局、天は「自分でやる」と宣言しました。

やらないでしょうが・・・と、わたしは心の中であきれました。いや、やりはするでしょう。しかし、ギリギリの日に、ギリギリのレベルでしかやらないことを、知っています。

しかし、返事はしたのですから、先生は引き下がりました。そして、「部活をやっている場合ではない」「高校は義務教育ではないから、やる気がなければどうにもならない」「こんなことでは、将来仕事でも困ることになる」と、話は続きました。

これはまずい流れです。

先生の話はもっともなのです。

けれども、わたしは知っています。

天は弱い。うさぎのように弱い。追いつめられると、逃げの一手になるか、またはその場で死んでしまう。

とにかくわたしは、この件に関しては何も言うまい。天を追いつめないことは、天を伸ばすうえでいちばん大切なことなのです。天が何もせずに寝ていても、ゲームをしていても、とにかく何も言うまい。これが、冬休みのわたしのつらいつらいミッションでした。

さて、冬休みが終わりました。今日は始業式です。

天は友だちとLINEをつないで励まし合い、夜通しかかってなんとか課題を終わらせた、そうです。

すばらしい出来ではないかもしれない。でも、とにかくやったのだから。君はとにかく、自分の人生に責任を持ったのだ。それでよい。

今日はさらに持久走もあるそうですが、徹夜の天は走れているのでしょうか。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。