進学校には行けない

発達障害グレーゾーン中学生の息子・天の高校受験が終わりました。

結果から言いますと、進学校に入学…はできませんでした。

どうやら、いや、ほぼ確実に、進学校には行けないだろう、とこれまで何度も確認していましたが、やっぱり行けなかったなあ・・・としみじみと思っています。

合格したのは、公立高校ではありますが、演劇系の特別学科のある高校です。

とにかく、よかった。

進学校かどうかはともかく、高校に合格できて、よかった。

発達障害グレーゾーンの子が受験を乗り越えるのは、本当にたいへんです。先の見通しが立てられない、自分から勉強することができないなどの致命的な特性があるからです。天がこのさきどうなっていくのか、わたしも本当に心配していました。

ですから、天が行きたいと思う高校が見つかり、その高校に合格できた。それだけで、心の底からほっとしています。

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「絶対に勉強しない」を本当に実践

天が勉強できないことは、過去に何度も記事にしてきました。

まさかの、中3の夏休み

受験勉強は無理

勉強が好きでないことはわかっていたし、すすんで勉強するたちでもないこともわかっていました。

けれども、受験が目前に迫ってきても本当に勉強しないとは、夢にも思っていませんでした。

たぶん、天は「勉強はしよう」という気持ちは持っていたと思います。けれども、天にとって、「頭で考えること」と、「実際に行動すること」には大きな隔たりがあります。いつまでも先延しにしてしまい、まったく勉強しないまま、受験前日がやってきました。

明日に受験をひかえた夜、天に相談されました。

「赤本、国語しかやっていないけど、いいかな」

国語だけ?受験科目は5教科ですが?

受験校の赤本をくり返しやって本番に備えることは受験の常識かと思っていましたが、天にとってはそうではなかったようです。

中学卒業を前にして、天には何人かのなかよしができ、放課後教室に残ってみんなで勉強する、と言って、赤本を持参していました。ですから、てっきり、赤本は何回もチャレンジしているものと思っていました。

やっていなかったか・・・

天の行動が、わたしの想像をはるかに超えてくることは、今回がはじめてではありません。わたしは時計をちらと見ました。

前日といっても、すでに夜です。力があるかないかは別にして、明日はとにかく、持てる力を全方向に発揮しなくてはならないのですから、早く寝ることのほうが大切です。

仕方ないので、全科目最初の1ページだけやって、科目ごとのイメージを作ろう。そして早く寝よう。

そう伝えました。

実際天は、各教科最初の1ページだけはやりました。そしてそれが、天がやった受験勉強のすべてです。

ただ天の場合ラッキーだったことは、演劇系の高校だけに、実技があったことです。

試験の半分は学科、半分は実技。こうなれば、朗読や演技は得意中の得意ですから、天の場合、大きく点数を稼げることになります。

そして実際、天は実技で点数を稼いで、無事合格となりました。しかし、ここに至るまでは、くねくね曲がりくねった、遠い遠い道のりでした。

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受験校選びが難航

天の受験校選びは難航を極めました。

天自身、どんな高校に行きたいのか展望がなく、ぼんやりと「自転車で行ける高校に行きたい」程度に考えているようでした。

一方のわたしは、受験勉強ができないのだから、さきざきを考えると、大学受験が必要でない「私立の高校・大学一貫校でどうか」と考えていました。

学校の先生は、実力テストはよいのに定期テストつまり内申点が悪いため、「どの高校を勧めたらよいのかわからない」状態でした。

三者の意見があわず、なかなか志望校が決まりません。

ここでも天の「見通しが立てられない」性格がネックになりました。

「○○高校に行きたい」という強い意思があれば、先生も親もそれを応援するのですが、天にはそれがありません。

こういう場合、親がどこまで口を出すべきなのか。天が行く高校なのだから、「天の自主性に任せたいし、それを天にも望みたい」と思って、見守る立場をとってきましたが、期限がある問題ですから、そうもいきません。

そこで、わたしのほうでもう一度、すべてをリセットして、天の高校について考え直すことにしました。

もし親の言うとおり、先生の言うとおり進学したとしても、やる気が出なくて行けなくなったり、楽しめなかったりすれば本末転倒です。

もちろん進学先は本人が選ぶのが筋なのですが、なにしろ数時間先の見通しさえ立てることのできない天には無理な話。

どんな高校なら、どんな勉強ができる高校なら、天はやる気になって受験することができるのだろう…

それだけを条件に、学校案内を見たりホームページを見たり、通える範囲の高校をひとつひとつ、洗い直していきました。

そのあいだも、天はふて寝をしていました。懇談で、出したと言っていた提出物を実は出していなかったことがわたしにばれたので、ふてくされていたのです。自分の感情が最優先で、今とるべき行動がわからない。困ったことです。

校風、学習内容、進路・・・

どんどん調べていきましたが、印刷媒体や画面上で見る高校は、夢や希望あふれる文字や写真ばかりが並び、どこもそんなに変わりばえしません。

洗い出しを始めて5時間ほどがたち、ほぼ投げ出しそうになっていたとき、ふと目に留まったのが、その高校でした。

歴史のある公立高校なのですが、演劇などの芸能分野や放送分野の勉強ができる特別学科があります。

しかも、特別学科は普通科に併設されており、行事などはすべて普通科と一緒に行います。普通科はそこそこレベルが高く、体育祭や文化祭の動画なども見応えがあります。

つまり、演劇の勉強もでき、さらには、普通の高校生活も楽しめる!

さらに天にとって好都合なことに、試験に実技があり、そのうえ特別な学科ですから志望者そのものが少なく、倍率が高くない。つまり、確実に合格が見込めます。

ここしかないと思いました。

さっそく天を起こし、「こんな高校があるのだけど、どうかな?」と言ってみたところ、天はすぐに起き上がり、ひとこと「行きたい」と言いました。

その高校が、自宅から1時間ほどかかるのに、です。

すぐに担任の先生に相談すると、先生も賛成してくれました。文化祭での演劇部の発表の、天の演技を見て、演劇を通して成長する天を感じてくれていたのです。

この時点で、わたしにとっての、天の高校受験が終わりました。

天が「行きたい」と言ったのですから、そこからは天ががんばる番です。ただがんばらないまま本番を迎え、うまく受験をすり抜けるかたちで、天は合格を勝ち取りました。

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だれにでも道がある

消極的な選び方ではありましたが、結果的に、天にとっていちばんよい道がありました。これはわたしにとっても、大きな学びになりました。

天のような子でも、道はちゃんと用意されている。たとえ勉強しない天であっても、内申点がない天であっても、そのままの天で合格できる高校があったのです。

わたしは今、心からほっとしています。

発達障害グレーゾーンで、普通の高校生活が望みにくい天に、実は「やりたい勉強」があった。そして、「やりたい勉強」を持っている天は、受験にも強かったし、運もよかった。天の将来をひたすら心配していたけれども、そんな心配は、ちっとも必要なかった。

そしてわたし自身、天のことをひたすら考えて、天を理解したいと思い、そしてわかっているつもりでいたけれども、実は何も知らなかったのだと、反省しています。天が演劇が好きなことは知っていましたが、演劇系の学校に行きたいと思うほど好きでいたとは、夢にも思わなかったのです。

どんな子でも、道は開ける。

これが、天の受験を通して得た教訓です。

だから、心配しなくていいし、あきらめなくていい。

心から、そう思っています。

さて、天が高校生になって、どんな生活を送るのか。どんな成長を遂げるのか。また引き続き書き続けていきたいと思います。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。