「行動で表す」ことでしか人は判断されない

人は見た目…ではない

行動

 

わたしは読書が好きですので、日々さまざまなひとの、さまざまな言葉に影響を受けています。そのなかではっとさせられた、ある考え方をご紹介します。

それは

「人は行動でしか判断されない」

です。

いくら口がうまくても、または立派な思想を持っていても、行動が伴わなければ信頼は得られません。言葉で自分を語るのではなく、まず行動で表す。それによって人を納得させることができ、認めてもらうことができるのです。

この考え方のポイントは、結果を求めないところです。たとえ結果が伴わなくても、行動そのものが人を語るのです。たとえば、電車で席をゆずったとき。ゆずられた人が席に座ったかどうかには関係なく、「席をゆずった」行動が、その人は思いやりのある人だということを表します。目標に向かって努力を続けたとき。結果がどうあれ、その人は、意思の強い人だということを表します。

この考え方を知って、わたしはとても楽になりました。

つい、行動の裏に隠された意味をあれこれ考えこむ癖があるのですが、行動を見たままに受けとればよい、とわかったからです。

 

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しかし、この言葉がまったく通じない人間が、わたしの周りにひとりいます。

天です。

天はまったく、「行動で表す」ことを理解してくれません。

わが家では、天に対しては、テレビを観る時間は「8時まで」と決めています。それ以降は、宿題なり、勉強なり、やるべきことをやる時間です。天は「わかっている」と言いますが、8時になっても自分からテレビを消そうとはしません。「わかっている」なら、行動で表すべきです。つまり、テレビを消すべきです。

でも、できないのです。そして、言葉で「わかっている」をくり返します。

大切なのは、言葉ではありません。「行動」で、「わかっている」という事実を具体的に示すことです。

「わかっているならテレビを消そう」と言っても、「わかっているから(もうちょっと観ても)いいじゃないか」と返してきます。

まったく話がかみ合いません。

 

「行動」がむずかしい理由

行動の理由

 

天にとっては、なぜ「行動」がここまで難しいのでしょうか。考え方に、癖があるからです。ふたつ挙げてみます。

①完璧にやらなくてはならない、と思いこんでいる。

行動を起こすからには、きっちりとやらなければならない、と考えているようです。何をも完璧にできるとは限りません。得意不得意もありますし、時間的な都合もあるかもしれません。体調に左右されることもあるでしょう。完璧でなくてもいい。「とりあえず」行動を始めさえすれば、あとから気持ちはついてくると思うですが、天の場合、そうはいきません。

②「行動」は特別なこと、と思いこんでいる

行動は、決定の次にある自然な流れである、ということが理解できていないと思います。行動することは、すごく特別で、すごく立派で、自分とはちがうだれかが、どこかでやることだと思いこんでいます。「あ、そうだ。やってみよう」これくらいの気持ちで、さっと動けばよい。それだけなのです。

天の「行動」に対する考え方には癖がありますが、その根底には、発達障害グレーゾーンならではの、天の特性があると思います。

①切り替えが難しいので、現状に執着してしまう

切り替えは、誰にとっても難しいものですが、天の場合は人一倍、のようです。「切り替える勇気を持とう」と天には常々言っていますが、その勇気を持つことができません。思いきって切り替えたら、もっとおもしろいものに出会えるかもしれないのに。

②長期的な思考ができないので、希望が持ちにくい

天には「今」しかないように見えます。自ら行動で示して成果が出るまでには、一定の期間が必要です。その間、成果が出ているかどうか確かめようがありませんが、その不安を抱えつつ、自分を信じて努力を続けることが、いつの間にか人を成長させると思います。その長期的な見通しを立てることが、天にはどうにも難しいようです。

③自分をうまくだますことができないので、チャレンジしにくい

誰にでも、やりたくなかったり、始めるのが不安だと思うことはあります。いやだなあと思いつつ、うまく自分をだましながら折り合いをつけてやっていくものです。そのうちにおもしろさに気づき、はまっていくこともよく聞く話です。でも、天の場合、やりたくないことは絶対やりません。これは徹底しています。ある意味、正直ともいえます。

さて、こう考えてくると、天にとって最も難しいのが「受験」ではないかと思えてきます。

長期的な目標に向かって、毎日コツコツと地道に努力を積み重ねる。その間には、よいときも、悪いときもあるでしょう。けれど、自分を信じ、周りを信頼して、黙って勉強しなくてはなりません。

天は進学校・あっぱれ高校への進学を希望していますし、その決意はまだ揺るがないようです。しかも、「ちゃんと勉強する」とも宣言しています。

しかしながら、先に挙げたような天の特性を考えると、とても努力していけるとは思えません。

そのわたしの暗い見通しを裏切って、努力していけるのか。その目標に向かって、自分を成長させていけるのか。

楽しみにしたいと思います。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。