救世主あらわる
継続が難しい天をどうやって勉強させたらよいのか。まだ中一ですから、気が向いたときに勉強すればじゅうぶん、とは思うのですが、その「気が向いたとき」が2週間に一回、くらいの頻度であれば、じゅうぶんな量とはいえません。
途方に暮れていたわたしですが、ここへきて、救世主があらわれました。
もちろん神様ではありません。
友人とシェアハウスで暮らしている、大学生の天兄です。
天の成績がイマイチなことを相談すると、「オンラインで勉強を見てあげようか?」と言ってくれたのです。
これはありがたい!
天は天兄が大好きで、天兄の言うことは素直に聞きます。その天兄が勉強を見てくれるなら、天もはりきって勉強しそうです。
教育経済学者の中室牧子さんも、著書の中で、こう述べておられます。
「祖父母や兄弟、あるいは親戚などの「その他の同居者」が、子どもの横について勉強を見たり、勉強する時間を決めて守らせていても、親とあまり変わらない効果が見込めることがわかっているのです。(中略)すべてを親が抱え込む必要はありません。困ったときは、学校や塾、家庭教師の先生なども含む身近な人に頼ってよいのではないかと、私は思います。」
『学力の経済学』(ディスカバー・トゥエンティワン)
親ががんばらなくても、代わるだれかが見てくれれば、子どもはきちんと伸びていけるのです。これは心強い言葉ではありませんか!
早速、天兄によるオンライン授業が始まりました。
さて、オンライン学習の効果は
夜9時に、zoomを立ち上げます。
天兄がまず取りかかったのは、塾の夏期講習のまとめテストのやり直しです。塾のテストは難易度が高いので、80点をとれば合格として、80点になるまで毎日くり返します。
よい問題を覚えるくらいまでやり直す、これはすごく大切な勉強なのですが、わたし相手では天はいやがってやりませんでした。天兄となら、天はのり気とはいわないまでも、チャレンジはしています。
くり返して何日かめに、数学が80点を超えました。
天兄は、「この(難易度の高い)テストで80点以上とれたら、学校ならもっととれる」と、天を励ましていました。さすが数年前に高校受験をしたばかりとあって、説得力のある言葉です。
次は英語。その次は国語。まとめテストのやり直しは続きます。
もちろん天兄もアルバイトや友人との約束などがありますがら、開催は実質週に4~5回にはなりますが、強制力のある2時間があるかないかでは、わたしの負担もまったく違います。
それに、進学校・あっぱれ高校に合格した天兄ですから、定期テストでは何点をとるべきか、どうやって点をとればよいか、合い間にレクチャーしてくれています。耳をそばだてているわたしでも、ほう…と納得するような、聞きごたえのある話です。天もよい刺激を受けているはず…と期待は高まりますが、そこは天です。
勉強中、やる気まんまん、というわけではぜんぜんありません。しぶしぶ取り組んでいるといってもいいくらいです。天兄に「ちゃんと進んでいるのか、(パソコンのカメラで)手元を映せ」と言われていることもあります。お菓子を食べながらパソコンの前に座り、叱られていることもありました。
でも、これは大事な練習です。人生の、練習です。
これからの人生で、やりたいことばかりをやって生きていけるわけではありません。もちろんやりたいことは思いきりやればいい。でも、やりたくないことにも、自分なりの向き合い方を確立しておくことは、これからの人生で必ず役に立つと思うのです。
勉強するということは、それを学ぶ最大のチャンスだと思います。そうすることで、心が強くなり、成長するのです。
天兄がそのガイドになってもらえたら。しばらく甘えさせてもらおう。そう考えています。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。