学校の先生の言葉に注意

先生

塾を経営しているので、保護者の方からさまざまな相談を受けます。勉強のことはもちろん、発達のこと、ご家庭のことなど多岐に渡りますが、そのなかで特におどろくことが多いのは、「学校の先生に言われた言葉」についてです。

たとえば先日、お子さんが学校に行けなくなった…というご相談がありました。仮にAくんとします。Aくんは小4、勉強はあまり得意ではありませんが、運動神経がよくていつも明るいお子さんです。そのAくんがもう半月も学校に行っていない、と保護者の方が相談に来られました。

くわしくお伺いすると、きっかけは「先生の言葉」だったそうです。

学校での休み時間、Aくんは自席でノートのお直しをしていました。先生の席に比較的近く、先生はそのときドリルの丸つけを行っていました。ふいに先生が大きなため息をつき、ぼそりと「体育しかできない男」と言って、丸つけしていたドリルを閉じたそうです。

Aくんはたまたま先生の声が聞こえたので顔を上げ、閉じられたドリルに自分の名前が書かれているのを目撃しました。

先生が「体育しかできない男」と断定したのは、Aくんのことだったのです。

これをきっかけに、Aくんは先生に不信感を抱き、深く傷ついて、学校に行けなくなりました。

先生にしたら、ひとりごとだったのかもしれません。Aくんは勉強は得意ではないものの、走っても跳んでも投げても学年で一番なので、「体育しかできない」というのはある意味まちがってはいないのですが、それにしてもひどすぎやしないでしょうか。たとえひとりごとだったとしても、先生の口から直接聞いてしまうのは、小4のAくんにはかなりきつい体験だと思います。

もちろん先生も人間ですから、疲れたり虫の居所が悪かったりしてつい口にしてはいけない言葉を口にしてしまうことはあると思います。けれども、その、たったひとことが、子どもの一生を左右してしまうこともあるのです。

1年生の懇談で、「このままでは3年生になったらついていけなくなる」と予言された保護者の方もおられます。確かに勉強は3年生から難しくなり、ついていけない子が増えるのは事実です。けれども、3年生になったときのことはだれにもわかりません。先生が、小学生になりたてのお子さんと保護者に、したり顔でそんな予言をしてしまったら、その言葉に引きずられて、本当に3年生でついていけなくなってしまいます。

先生は教育のプロなのですから、お子さんと保護者を不安に陥れるような予言の代わりに、言えることがいくらでもあると思います。こんな努力をしたほうがいい。こんな勉強法がある。こうしたらもっとできるようになる。と、建設的で前向きであたたかい言葉をかけてほしいと願いますが、無理な話なのでしょうか。

これは天から聞いた話ですが、クラスで後期の委員長をしている女子が泣いていたそうです。担任の先生に、「前期の委員長はできたのに、なんであなたはできないの」と、足りなかったところを強く責められたのだといいます。だれかと比較して叱るのは、最低の叱り方です。立候補して委員長になるくらいやる気のある子の、できないことを責めるのではなく、できていることをほめてやってほしい。それは難しいことではないと思うのです。

また、友人のお子さんが中学生のときに不登校になりました。そのお子さんは委員長や生徒会役員などをこなす明るく活発なお子さんした。ものおじせずにどんどん意見を言うので、先生にしたら「面倒な子」に映る部分もあったのかもしれません。小さなもめごとが起こったときに先生が、「あなたのことは職員室でいつも話題になっているよ。あなたのことをよく言う先生はひとりもいない」と言い放ち、お子さんは学校に行けなくなったそうです。

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先生の言うことを気にしてはいけない

気にしてはいけない

このような先生に出会ってしまったら、不運としか言いようがありません。子どもを導く立場の人間が、子どもを傷つけ、おとしめ、不登校の原因さえ作っているのですから。

けれども、先生の言うことを真面目に受け取る必要はない、と考えています。

もちろん、このような発言は、ひとりの人間として許されるものではありません。

でも、こんな人はどこの世界にもいるのです。ですから、親は子どもと一緒に動揺するのではなく、毅然とした態度をとってほしい。

まずは子どもとちゃんと話をすること。人は、たとえ先生でも、ついいけないことを言ってしまうことがあること。けれども、それはたまたまの流れであったり、先生も先生自身を守るためであったりして、本心からではないかもしれないということ。広く「人の心」の話をして、このつらい経験を「人間理解」のチャンスに変えてもらいたいと思います。

そのうえで、先生ときちんと話をすることをおすすめします。先生のひとことが、子どもにどんな影響を及ぼしたかを知ってもらうこと。今後のキャリアのためにも、それは先生にとって必要な経験なのです。ここで大事なのは、けんか腰にならないことです。思いの丈をぶつけてしまいたくなると思いますが、ぐっとこらえて、「こちらは困っている。先生として相談に乗ってほしい」と穏やかに誠実に話をするのがよいと思います。

前述のAくんの件では、Aくんが「先生には言ってほしくない」と強く言っていたらしく、学校にも言えず、家で家族会議を開くばかりで、何も前には進んでいませんでした。そのうえ、Aくんは「5年でも担任が同じだったら、もう学校には行かない」と宣言すらしていたそうです。

そこで保護者の方には、Aくんには黙って学校に相談に行くことを勧めました。ただ、該当の先生とは穏やかに話ができなさそうな雰囲気を感じたので、管理職の先生に相談してはどうか、と言ってみました。Aくんの不登校が続くことになれば、それはAくんだけの問題ではなく、学校の問題にもなってきます。学校全体で取り組んでもらうべき問題なのです。

保護者の方は、すぐさま管理職の先生に相談に行かれました。該当の先生は、発言がきついと学校内でも問題になっていたらしく、すんなりと話が進んだそうです。そして、(大きな声では言えないけれども)卒業するまで担任にはしないと内々で約束してくれた、と報告してくださいました。

 

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子どもは成長する

成長

もうひとつ大事なことは、起こったことすべてを糧にして、子どもは成長するものだ、ということです。ジャニー喜多川さんのような言葉ですが、これは本当です。成長しない子どもはひとりもいません。

子どもはその子なりに、必ず成長するのです。今はつらい経験をして傷つき、動けなくなっているけれども、いつか自分の力で歩き出す。そう考えて、子どもを信じることです。

この先、先生よりひどい言葉を浴びせる人間に、山ほど会うでしょう。けれども、「親は自分のことを信頼してくれている」という思いがあれば、子どもは安心して困難を乗り越えていけると思います。

確かに、子どもの成長には時間がかかります。今日の結果が明日すぐに出る、というものでもありません。けれども、いつかこの子は立派に育つ。そう信じて、一日一日を重ねていきたいと思います。

ただ、よい先生に出会うことができれば、それに越したことはありません。そんなラッキーがお子さんに起こることを願っています。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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