親の前でいい子が心配

発達障害グレーゾーンの天が、家であまりにも好き放題やっていて手を焼いていますが、親が子どもに手を焼いている、これはむしろふつうで健全なのでは…と思うことがときどきあります。

塾を経営しているので、つぎつぎと新しいお子さんに出会います。

入会が決まって「やっかいだな」と思うのが、「親の前でやけにいい子」です。こういうお子さんは、あとで必ず問題を起こします。

教室内で大声を出す、ほかの子どものじゃまをする、騒ぐ、暴れる、などです。慣れてくると、周りに対して攻撃を始めるのです。

なぜ問題を起こすのか。

それは、親が怖いからです。

親が怖いので、いつも親の顔色をうかがっている。その結果、ストレスが貯まるので、親のいない場所で好き放題することになるのです。

親のどこが怖いのか、といえば、もう単純に怖いのです。

大きな声で叱る。思いやりのある言葉をかけない。子どもの言うことを無視する。いつも自分中心で、子どもの立場に立って考えない。

一般に言われる「毒親か」と言われれば、そうでもありません。わたしの見ている限りではありますが、無邪気でからっとしており、大人としてつきあえばおもしろい方が多いです。自身が愛情に飢えて子どもとうまく関係を築けない…というような、いわゆる「毒親ストーリー」は当てはまりません。

子どもは親の前ではいい子を演じます。いい子でいなければ、容赦なくきつい言葉が飛んできて、安心できないのです。ですから、宿題などはきちっとやってきます。

しかし、その反動が、教室で出てしまいます。

 

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塾では、大切なお子さんをお預かりしていると考えているので、基本的に叱ることはありません。性善説に立って子どもを信頼し、話をします。子どもには波があり、できる日とできない日がありますから、できない日だと判断した場合は、途中で帰っていただくこともあります。

ただ、こういうお子さんは「帰ろう」と言っても帰りません。

机にしがみついて「帰らない」とがんばります。わがままが言えるのがこの教室だけなので、帰ることなどできないのです。

塾で大声を出しているくらいならまだよいですが、これは徐々にエスカレートします。大声を出しても親に注目してもらえなければ、そのうちに、学校で、いすで窓ガラスを割るところまで発展します。そういう子が実際にいました。

子どもは注目してほしいし、かまってほしいし、愛されたいのです。それはひとりっ子であっても、兄弟が多くても、変わりがありません。それが満たされなければ、外でその欲求を満たそうとします。注目してもらい、声をかけてもらい、かまってほしがるのです。

天の家での好き放題、に疲れ果てていましたが、だんだんと、その状態がむしろ子どもとして健全だなあと思うようになりました。問題なのは、家でだらだらと好き放題できないので、外でそのうっぷん晴らしをすることです。

そして天は、外では「借りてきた猫」のようにいい子を装っています。

もちろん、外でいい子、家でもいい子が理想ですが、人間そうはいきません。天が外で理性を働かせていい子の仮面をつけているということは、子育てはなんとか成功しているのだ、と自分に言い聞かせています。

何度も何度も、言い聞かせています。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。