発達障害が終わる日

発達障害グレーゾーンの天が高校に入学しました。

生まれたときから発達障害を疑い、いつか発達障害でなくなる日を夢見てきましたが、高校に入ってからの天が、なんだか今までは違う!

天は、大好きな演劇の勉強ができる高校に入りました。体育祭があったり、演劇部の新人公演があったりとハードな日を送っていますが、今の天には、どこから見ても「発達障害感」がないのです。

もちろん発達障害は脳の特性で、治ることはありません。たくさんの人と出会い、いろんな経験をしていくなかで、その場に最適な立ち居振る舞いや人づきあいをこつこつ学んでいくしかないと考えていました。

しかし、高校に入ってからの天が、どうにも「普通の子」に見えるのです。

もちろん必要以外の勉強はしないし、片づけもできないけれど、たたずまいが、なんだか普通。すごく普通。

発達障害が「治る」ことはなくても、「見えなくなる」ことはあるのではないか、と思います。

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環境が変わった

その要因として、やはり、環境ががらりと変わったことは大きいと思います。

天は好きな勉強ができているので、毎日上機嫌です。もちろん演劇部の活動も行っています。そのうえカリキュラムの関係で、苦手な数学、理科などの科目数は最低限に抑えられており、やりたくないことから逃げ回っていた毎日から、逃げなくてもよい毎日へと大きく変化しました。日々の満足感、充実感が大きく上がり、精神的に落ち着いたことはまちがいありません。

また、在籍する学科には多才で多個性的な人が多いと天から聞きました。すでに芸能などの分野で活躍している人もいるようです。そのなかで、「一風変わっている」天も、ひとつの個性として受け入れられているのかもしれません。

公立高校でありながら、私服通学など自由な校風であることも、天にとっては追い風でした。義務教育の「みんな同じ」の中では悪目立ちしていた発達障害が、みんなが個性全開の校風のなかでは、まったく目立たなくなったのです。

ほどよく遠くの学校に、電車に乗って通っているのもよいストレス発散になっていると思います。

コンビニに寄っておやつを買ったり、途中下車して映画を観て帰ってきたり。今までなかった、気分のままに行動できる自由を得たことで、うまく息抜きができているようです。

発達障害の見え方が、ここまで環境に左右されるものだったとは。深刻に悩んでいた今までの日々は、いったいなんだったのだろう?と拍子抜けすらしてしまいます。

親の気持ちが変わった

そして、やはり見逃せないのは「親の気持ち」です。

もちろん天は今も勉強はしていませんが、天に向いている道がわかったせいで、わたし自身焦りがなくなりました。家で勉強していなくても、「それもよし。好きなことをめいっぱいやれるだけでじゅうぶん」と、わたしの意識が180度転換したのです。

親は、子どものなかに「これだけは信じられる」というものをひとつでも見つけられれば、それを支えに成長を見守っていけるのではないでしょうか。天には演劇がある。そう思えたことで、天を全肯定できる気持ちになったのです。

天の将来に関しても、特に心配はしていません。

思い起こせば一年前、天はちっとも勉強せず、このさきどうなるのだろうかとはらはらはらはら、ろくに夜も寝られないほどでした。けれども、結果として、奇跡的にではありますが、天は自分にいちばん合った高校に行くことができました。天は「毎日楽しい。高校に行ってよかった」と言っています。そしてもちろんこのさきも、きっとぴったりの道が天の前に降りてくると、今は信じることができます。

だから、あなたのお子さんも、きっとそうです。

何も、心配することはないのです。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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学習塾を経営しながら、発達障害グレーゾーン中学生の息子・天を絶賛子育て中。 楽しかったり楽しくなかったり、うれしかったりうれしくなかったりする天との毎日を、母の目から率直につづります。