夫が、ぎっくり腰になりました。
それはある土曜日。金魚の水を換えていたときのことです。
洗面所でバケツに水をくみ、持ち上げたとたん、腰から力が抜けたそうです。
そのバケツは小ぶりで、水を満タンに入れたとしても、わたしでも持ち上げられるほどです。夫にとっては軽々、です。
まっすぐに立つことができなくなった夫は、四つんばいになって床をはうように、洗濯物をたたんでいたわたしの前に現れました。
夫はもともと猫背気味で腰痛持ちですが、ぎっくり腰になるのははじめてです。
額に脂汗を浮かべてうなっている夫を見て、わたしのほうも、腰が引けました。ぎっくり腰とはよく聞くけれど、経験したことはなく、どう対応してよいのかわかりません。
しかしながらこのコロナ禍、病院には頼らずにまずは自力で治してみよう、と意見がまとまり、試行錯誤が始まりました。
まずは応急処置として、備えてあったロキソニン入りの湿布薬を腰に貼りました。これでずいぶん痛みは引いたようです。
湿布が切れたあとは、保冷剤などを使って冷やしました。夫の場合、冷やすと痛みが引く傾向があるようです。
とにかく腰が痛くて動けないので、まずはからだ全体をゆっくり休めることを最優先。仰向けではなく、横向きに脚を曲げて横になると寝ると楽だそうで、その姿勢のまま安静にして、痛みがとれるのを待つことに。
この日はちょうど土曜日で会社が休みだったので、日曜日まではそのまま様子を見ることにしました。両日とも、夫は本当によく眠りました。ぎっくり腰の原因は、疲れもあったのかもしれません。
そして月曜日。会社に行かなくてはなりません。
会社用の装備として、腰にはコルセット(ドラッグストアで購入)を巻き、アウトドア用のステッキを2本持参。いつもは自転車通勤ですが、わたしが車で送迎することとなりました。
会社ではデスクワークなので、着いてしまえば特に心配はないのですが、昼食やトイレなどの移動にいちいち時間がかかります。ここは治療を最優先、を旗印に、とにかくさっさと仕事を終わらせて早めに帰ることに全力を挙げました。
夫にとって、出社は冒険ではあったもののよい気分転換になったようで、痛みも少しは治まった…とのことで、いよいよ前向きな治療に取り組むことにしました。最近はぎっくり腰は、背筋などの衰えを防ぐため、積極的に身体を動かすほうが治りが早い、と言われています。
ストレッチで腰を伸ばす
そこで、腰のストレッチを行ってみることにしました。
まず夫に勧めたのは、このストレッチです。
ヨガの「コブラ」と言われるポーズです。
わたしが大好きなポーズで、背中や腰を伸ばすのに日常的に行っているので、夫にもよかろうと考えて勧めてみたのですが…
夫曰く「効きすぎる…」
夫には、ひじを床についたゆるやかなタイプをやってもらったのですが、あまりにもダイレクトに腰にアプローチするため、効果は期待できるものの、患者である夫からすると「つらい」気持ちばかりがふくらんでしまうようです。
ほかにも、腰や背中をひねったり、伸ばしたりするストレッチもしてみましたが、夫によると、どれも「効きすぎてしまう」とのことでした。本格的なストレッチはつらすぎて、続けることがむずかしいようです。
長く気長にやっていくには、たとえ効きはソフトでも、やる気を引き出せるものでなくてはなりません。
そこで登場したのが、バランスボールです。
やっぱりバランスボールはすごい
使い方はシンプルです。
バランスボールの上に、仰向けに寝転ぶだけです。
これは当たりました。
「いちばん気持ちがよい」と、夫は笑顔になりました。
ぎっくり腰そのものへの効き方はゆるやかだとは思うけれども、首や肩、背中など全身を伸ばすことができ、身体全体がバランスよく癒される。しかも心地よいゆれで、精神的にもリラックスできる。つまり、長続きする。
まさに、夫の望みどおりの治療法が現れたのです。
そして会社から帰ると、バランスボールに仰向けになり続ける夫。
これはもともと天が愛用しているバランスボールなので、取り合いになる場面もしばしばみられました。
くわしくはこちらをご覧ください→バランスボールは、心にもからだにもよいらしい
そして結局、バランスボールに乗るというごく簡単な方法だけで、一週間以内に夫のぎっくり腰は完治しました。
なってしまった当初は歩くことすらできず、「治る気がしない」と痛さ、つらさ、暗さのどん底にいた夫ですが、治ってしまえばどこ吹く風。まったく人間の治癒力にはいつも、驚かされます。
わたしのほうも、夫の送迎や、いつも夫がやってくれているゴミ出しやお風呂洗いなどの家事もすべてこなすことになり、体力的にも精神的にも、かなり厳しい毎日でした。家族みんなが健康でいることが、やはりいちばん大切ですね。
実はこの一か月後、夫はぎっくり腰をプチ再発させることになるのですが、今回の「バランスボール治療法」を使って、すぐに治すことができました。
ぎっくり腰で苦しんでおられる方の参考になれば、幸いです。なお、わたしは医療の専門家ではなく、あくまで体験に基づいての記事となっていることをご了承ください。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。