発達障害グレーゾーンでアトピー重症者の高校2年生・天がデュピクセントを打ちはじめて8か月がたちました。
アトピーそのものは落ち着いており、天は快適に毎日を過ごしています。
通院は2か月ごとで、その待合室で、天とこれからについて話をしました。というのも、高校生活があまりにも忙しく、天とは朝と夜の合計1時間ほどしか顔を合わせないため、じっくり話す時間がなかなかとれなかったのです。
デュピクセントを打つに当たり、担当の先生からは「とりあえず一年やってみましょう」という話がありました。その間にIge値も落ち着いてきて、なんらかの進展があるかもしれない、という見通しでした。
ただ、今の天を見ていると、アトピーそのものがからだの中から消えたわけではないと思っています。
つまり、デュピクセントをやめれば一気にもとのアトピー重症者に逆戻りしそうな予感があります。
全身のかゆみはありませんし、皮膚にもはりがあり、いっけんアトピー患者には見えません。けれども、首の後ろにはときどきポツポツと赤みが出ますし、就寝中にひどく汗をかいたときなど、ひざの裏にかゆみが出ることもあるようです。
デュピクセントをいつまで打つことになるのか。手間や費用を考えると、このさき長いこの子の将来のどこらへんまで、デュピクセントのお世話になるのか。いつかやめられるときが来るのか。親としては非常に気がかりです。
天にたずねると、なんと
「一生打つ覚悟ができている」
という答えが返ってきました。
これにはびっくりしました。天がそこまで思いつめているとは、想像していなかったからです。
なるほどそうなのか。一生打っていこうと、16歳でもう覚悟を決めているのか。たぶん自分のアトピーは一生治らないと、肌感覚でわかっているのか。
一生打ち続けるということは、高校生の今は医療費も補助制度のおかげで非常に安くすんでいるけれども、大人になればそうはいかなくなる、ことも織り込み済みなのだね?将来たとえば結婚したり子どもができたりして、たくさんお金が必要になったときも、自分の医療費分はよけいに稼ぐ、その覚悟もできているのだね?
「わかってる」
と天は答えました。
わたしはきっぱり言い切った天の気持ちを思い、せつなくなりました。今までアトピーのためによほどつらい思いをしてきたのだろう。デュピクセントのおかげでかゆみから解放されたことに、本当にありがたいと思っているのだろう。アトピーの苦しみに比べたら、月数万の出費は安いものなのかもしれない。
天がそこまで覚悟を決めているのなら、わたしは伴走していくだけです。
そして、今まで2か月に一度の通院が必要でしたが、症状が落ち着いているということで、3か月に一度の通院でよくなりました。これは非常に助かります。たとえ一生デュピクセントを打っていくにしても、なんらかの、なんらかの希望はあると思っています。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。