療育にはバランスボール?
発達障害の子どもの体幹を鍛えるために、バランスボールがよいとはよく聞きます。発達障害の子は体幹が弱いことが多く、バランス感覚を高めたり筋力を強くするために、療育にもバランスボールが取り入れられているようです。
天はやせ型ですが、体幹がしっかりしています。その理由はたぶん、バランスボールとともに生活しているからです。運動のためにバランスボールを使っているのではありません。バランスボールが友だちなのです。
たまたまうちにあったバランスボールを見つけて愛用し始めたのは、天本人です。そのときは発達障害にバランスボールがよい、という知識はまったくなかったのですが、結果的に天がバランスボールをこよなく愛するようになったのは、自然ななりゆきだったように思います。
大好きな使い方は、うつぶせになって上半身をバランスボールに預け、ゆらゆらしながらテレビを観ることです。放っておくと、いつまでもゆらゆらしています。そのかっこうのまま本やマンガを読むのはもちろん、ごはんを食べたがることさえあります。
最近新たに気に入っているのは、あおむけに寝ころんで両手両足を上に伸ばし、手と足の先にバランスボールを載せて、小刻みに回すことです。飽きないらしく、ずっと回しています。バランスボール自体はかなり大きいものですし、中に入っているのが空気とはいえ、それなりの重量はあります。わたしは試したことはありませんが、見ている限りけっこう難しく、力が必要なのでは…と思います。
そのおかげなのか、天は体力がないわりには握力が強いです。天が締めたジャムのびんを、わたしは開けることができません。夫もかなり握力が強いのですが、その夫でさえ開けられなかったほどです。
バランスボールの魅力とは
では、バランスボールの何が、天の心をとらえているのでしょうか。
天の言葉によると、「落ち着く」そうです。
天は外では、緊張して過ごしているように思います。切り替えが苦手な天ですから、学校の中で、または友人との間での予測できない数々の出来事に対して、相当な緊張感を持って向き合っているはずです。
その緊張をやさしく受け止めてほぐしてくれるのが、バランスボールなのかもしれません。体重をまるごと預けられ、けっして「重いよ、それ以上はやめてよ」と拒否してこない。どう遊ぼうが、そこは自由。テレビに集中しているときに、「見過ぎじゃないの?」と突っ込んでこない。ぼんやりリラックスしているときに、「宿題やったの?」と指摘してこない。こんなすばらしい友だちが、ほかにいるでしょうか。
そういうわけで、バランスボールに乗っているときの天は、とても機嫌がよいのです。
精神的に安らぎを得られ、結果的に体幹が鍛えられるのであれば、やはりバランスボール万歳、と言わざるを得ないのではないでしょうか。
お子さんの発育に不安があるなら、まずバランスボールを与えてみることをおすすめします。きっと子ども自身が、自分にあった、よい使い方を発見することと思います。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。