天がスマホを持ちはじめてから5か月がたちました。
最初はルールを守る、いい子だった天ですが、じわじわとスマホの時間が長くなり、4か月目には、まったくルールを守らなくなりました。
きっかけは、YouTubeのおもしろさに目覚めたことです。
大好きな仮面ライダーの動画、ゲームの実況、流行りの曲…いくらでも見るものがあり、そして次々におすすめ動画が出てくるので、やめどきが分からないようです。
その結果、スマホを使うこと8時間!…のような日がちらほら発生しはじめました。
つまり、「スマホ中毒」状態になってきたのです。
こうなると、いくら声をかけても天の耳は届きません。
スマホを取り上げようとしても、天もからだが大きくなっていますから、とても太刀打ちできません。
スマホを使う時間が長くなるに伴って、勉強時間がどんどん減り、テスト前でも一秒も勉強しない、という日が出てくるという困ったありさま。
そして、1学期の期末テストの成績はさんざんでした。
天は反省している、ようです。次からはもっと勉強する、らしいです。
しかし、本当に反省しているのだろうか?反省する気持ちがあるのはなんとなくわかりますが、それを裏付ける行動には結びついていません。つまり、まったく、勉強していません。
スマホは、わたしもとても便利に使っていますし、大好きなツールです。気になったことはすぐに調べられますし、これ一台あれば、カメラ、時計、電卓、歩数計、音楽を聴く、などなんでもできます。
それだけに、魔力があるのだなあ。
わたしももし、中学生のころにスマホに出会っていたら、その魔力のとりこになっていたかもしれません。
自分がまだ何者かわからなかったとき、知りたいことやのぞいてみたい世界がたくさんありました。でも、その手段がなかった。あのときスマホがあれば、何か、新しい世界への手がかりが見つかるかも、と夢中になったと思うのです。
きっと天も、そうなのでしょう。自分が何をやりたいかもわからず、何が好きなのかもわからない、天。その天が、スマホという世界に居場所を見出そうとするのは当然かもしれません。
しかし、天はのびざかりの中学生。スマホを長時間使っていいわけはありません。
ふり返ってみれば、スマホのルールは決めてありました。毎日午後8時まで。それ以降はわたしに預ける。
天もはじめは、きちんと守っていました。
でも、怖いのは、「ふと気づくと」ルールがなくなっているところ、です。
「ルールがなくなった」始まりは、どこかにあったのだろうと思うのですが、それがはっきりしません。天がちょっとだけならいいだろう、と考えた、とか、わたしが忙しくて声をかけられなかった、とか、「その日」がどこかにあったはずなのです。
その始まりを、見逃してしまった。
その点は、わたしも反省するべきところがあります。
ですから、仕切り直すしかありません。
天と、話をしました。
なぜ、スマホを長時間使うのがいけないか。
まずは目や脳などの健康面。そして、家族との会話がなくなったり、食事の片づけがおろそかになったり、お風呂の時間が遅くなったりしているなど、生活のあらゆる面がルーズになっていること。加えて、成績が下がるという深刻な影響が出ていること。
けれども、天は、「それはスマホのせいではない」と言い張ります。アルコール中毒の人が「自分はアルコール中毒でない」と主張する、それと同じです。
これは何かしら、強力な対策を施さなければならない事態だと判断しました。
けれども、スマホを取り上げることが得策とは思えません。ふてくされて何もやらなくなるうえに、親子関係も険悪になるなど裏目に出てしまうでしょう。
天がスマホを使いながら、ほどほどに制限できる方法はないだろうか…
あれこれ試してみました。
充電器を隠す。
これは、意味がありませんでした。
「充電器を貸して」「まずそこを片づけたら貸そう」「やるから貸して」「やったら貸すよ」」「やるから!やるから!やると言っているのに、なんで貸してくれないの!」「やったところを見せてくれたら貸すよ」「貸してくれたらやるから!」天の目から涙。そしてつめよってくる…最初に戻る。
毎日こんなことをくり返すのでは、こちらがもちません。
時間を制限するアプリを入れる。
いくつか試してみたのですが、やはり本人のやる気が伴わなければ、どんなアプリを入れても意味がないことがわかりました。木や魚を育てることに天は興味がないようでしたし、時間を制限するアプリは、勝手に解除していました。
そこで、新ルール
八方ふさがり…
どうしたらよいか、天兄に相談してみました。答えは明快でした。
「充電器を隠したら?」
「隠しているけど」
「そういう意味じゃなくて、必要な分だけ充電する。そして、『今日の分はこれだけだよ』とスマホを渡す。こうしたら?」
目からウロコが落ちました。
なるほど、確かにそれはいい。時間は目に見えないが、電池の残量は目に見える。そして、100%ぶん以上は使えないのだから、延々と使うことはなくなる。
早速翌日から試すことにしました。
家族の中ではわたしがいちばん早起きですから、起きたとたんに充電を始めます。そして、100%になれば、充電器を隠します。そして、天に「今日のぶんだよ」とスマホを渡します。
「今日からはこうするね」と天に宣言しましたが、天はなんにも言いませんでした。
そして、これは当たりました。
100%ぶんありますから、大好きなYouTubeもじゅうぶん観られます。電池が減ってきたら、TwitterやLINEなどの通知や連絡の確認に限定して使っているようです。
そして100%を使い切ったら、スマホを置いて、違うことを始めます。わたしに話しかけてきたり、テレビを観たり、バランスボールで遊んだりしています。
いつもの天がもどってきた…大成功!
わたしの推測ですが、天自身も心のどこかで、スマホを制限しなくては、と考えていたのかもしれません。そのきっかけに、「100%ぶん」がなったのかもしれません。
今回は、「ふと気づくとルールがなくなっていた」事態にならないように、心して、心して、続けていこうと考えています。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。